茶色い、小さな蛇が、粘着テープにくっついて離れられなくなっている。
首をもたげてこちらを見るけど、剥がしてやるわけにもいかず、仕方がないのでとりあえず取手ごと庭に放り投げた。
畑仕事をしていた親戚のおばさんがやってきて、「これはナントカ蛇だから食いつくよ」と脅す。
「春ちゃんは妊婦だで蛇は殺してかんよ。妊婦は何も殺していかん」と迷信めいたことも言う。そう言われてもどうしようもないしな〜。
おばさんが蛇がくっついたロールを木陰に運んだところまで確認して、とりあえず家を出た。
しかし家の中に蛇が出るってなんという・・・法事で先に出かけていた母親に抗議の電話をしたが「いい兆しに違いない」と煙に巻かれてしまった。
それはそうと今日は私が以前名古屋市で賞をいただいた短編小説を映画化したショートフィルムが映画館で上映されるとのことで、伏見のミニシアターまで出かけていったのだった。
今年の2月に発表上映会があって、名古屋市から呼ばれていたのだけど、行けなかったから、まだ観ていなかった。
どんな仕上がりなのかなと思っていたけど、すっかり忘れていた。
今日の映画館上映の情報は、たまたま親戚の女の子がチラシで発見して教えてくれたのだった。
ネットで調べたらyoutubeに予告編がアップされていた。
↓
http://www.youtube.com/watch?v=aQB_tt7N8H0
※これで観られるのかな?
youtubeで「桜の街のドーナツショップ」と検索してみてください。
見覚えのある俳優さんが主演していて、びっくりした。
それで今日、映画館で初めて観たわけなんだけど、ずいぶん私が書いた原作とは内容の違うものになっていた。ミステリ仕立てみたいになってて、なんとも暗いトーン。
ま、映画ってそういうものなんだろう。
堀田あけみさんが「映画になるときは原作はお嫁に出すようなもので、あとはどうなるかはお任せだ」と言っていたけど、ほんとにそうなんだなと思った。
それにしても原作にはまったく書き入れていないけど、映画には小道具に出てくる佐藤春夫全集のなかから「美しい町」という小説がネタとして盛り込まれていて、私はその話が一番好きなのがどうしてわかったんだろう、とちょっと驚いた。
いずれにしても自分が生み出したものがこんなかたちで派生して違うものになっていくことはずいぶん面白い体験だと思った。
子どもを授かってからぱったりと創作意欲が途絶えているけど、そのうちまた何か書いてみようかなと思う。
家に帰ると法事から戻った母親と叔父たちもほどなくやってきて、みんなで麺を食べに行く。
私はエビの天ぷらとだしまきなどがのった冷やしきしめんを食べた。
庭に放置した蛇は父親が始末したようだけど、どうしたかは聞かないでおいた。
田舎の老人は残酷なことを平気でするから。
こんな映画になるなんてすごい事だね。ぜひ次はうちの店を題材にしてください。でも殺さないでね。
返信削除兄