2015年6月2日火曜日

ピーカン遠足と土砂降り花火





うちの猫の額ほどの庭に植えた紫陽花も少しずつ色づきはじめて、いよいよ鎌倉はトップシーズンに突入しようとしている。

真っ青に晴れた5月の土曜日、息子の保育園の親子遠足が行われた。
遠足といっても、年少組は公園に集合して、敷地内を散策してまわるだけ。
来年からは、保育園に集合し、公園まで数キロの道のりを歩いて行くことになる。

息子の通う保育園は、散歩に力を入れており、晴れていればしこたま散歩。歩かせまくることで、基礎体力を付けるのが目的だ。




田んぼが広がる公園。こんな田舎が近くにあるのは、幸せなこと。

公園でのメインイベントは、崖上り。のぼってはスライディングで降りてくるを繰り返す子どもたち。お尻が真っ黒に・・・。

「いつもの仲間と、いつもと違う場所」に萌える子どもたち。
自分もそうだったなあ〜と思い出す。
息子は、数日前から遠足を心待ちにしていて、「あと何回寝たら遠足?」と何度も聞いてきた。

一番のお楽しみは、やっぱりお弁当。
しかし前夜飲みに行ったため、たいした仕込みができず、色合いも茶色めな高カロリー弁当になってしまった。おにぎりはサッカーボール型にして、幼稚園の弁当をちょっぴり意識して・・・。
「サッカーボールってどんなふうだっけ」と思いながらのりをカットし、適当に貼付けたが、こんなこと毎日やってられないわ、やっぱ給食のある保育園でヨカッターと思うダメ母・・・。

つくねは冷凍食品だが「お母さん、作ってくれてありがとう!これ、おいしいよ!」と息子。手抜き食品を喜ぶ味覚は夫に似たのだろう。

 ペロリと平らげた!と言いたいところだが、遊びが気になってかなり残され、私の胃袋へ・・・。

お弁当を食べたら解散と、あっという間に終わった遠足。
遊び足りない子どもが残って、水場で虫取りをはじめた。


このあと、Sどんに待ち受ける過酷な運命・・

私は、Aちゃんのママと水場が見えない日陰のベンチに座り、 どのパパがイケメンかという話に興じていた。
しばらくすると、残っていた園の先生たちが慌ただしく水場の方へ走っていく。
見れば、息子の親友、Sどんが水浸しで、放心状態でパパと歩いて来た。
「どうしたの?」
「小川に頭から落ちて、『犬神家の一族』状態」
「アチャー」
それは大変だったね、と、着替えを手伝ったりしていたが、よくよく聞いてみると、うちの息子がSどんにぶつかったのが原因だった。
謝ったらしいが・・・ほんとにごめんね・・・Sどん・・・!

ご存じない人のために、こんな映画です。

Sどんは犬神家トラウマにもならず、その後は楽しく虫取りをしていたから、一安心・・。
いや、息子ではなく、子どもをほったらかして日陰でおしゃべりしてた私が悪い。
ほんとにごめんね・・・!!


久しぶりに美容院でカットしてもらった息子。成長を見守ってくれる場所が地域にあるのって嬉しいものです。


そして、5月の最終金曜日は、逗子の花火大会が行われた。
この日、職場でカタログの撮影が入っていたのだが、無情の雨・・・。外国人モデルが、まるで晴れた日のような顔をして雨の中頑張っていたのが忘れられない。

天気予報では夜にはやむという話だったが、日が落ちても怪しい天気・・・。ほんとにやるのかぁ?と不審に思いながらも、職場→保育園→逗子の友人宅へのロングドライブ。

大学時代の友、K子は大阪出身で、彼女の作るおばんざいは本当にうまい。
花火を見ながら食べるお弁当のおかずを、たらふく仕込んで、私と息子を待っていてくれた。
極楽寺のAiちゃんもだが、関西出身の人ってやっぱり和食が上手。食は関西にありだなあ〜。行きたいな〜関西!大人だけで・・・。

リュックサックに、お弁当とビール、お茶をたっぷり詰めて、曇り空の下、花火へ出発。
私、息子、K子とその息子Y(小4)の4人で、手をつないで黒門の有料シートまでいそいそと歩いて行った。


ちょっとスペースは狭いけど、場所は最高の有料シート(大人1000円)。

ときおり雨がパラつくも、学生の頃からスーパーポジティブの異名を取るK子は、
「降ってない!」
と言い張り、ビールをグビグビ。息子は兄貴の膝に乗せてもらって、じっくりと花火鑑賞。
しかし、徐々にごまかしきれないほどの雨が降ってきた。
大団円の頃には、もう土砂降り!!

「頼む!早く終わってくれ!」
と思った花火大会は、初めて・・・。

帰路も激しくなる雨。
傘を持たずに行ったため、レジャーシートを頭の上で広げて、無言で歩く私たち。
海から、人ごみを避けつつ、K子宅まで約2kmの道程。
途中、尿意をおぼえた私・・・
「K子さん、こんなに降ってるんだから、歩きながらしてもわからないよね?」
「・・いいけど、確実に臭うと思うし、下半身裸になって流してから家には上がってもらうよ」
「・・だよね」
「あのさ、子どもだって我慢してるんだから、大人がやっちゃいけないよ」
「・・・だ、だよね」

いつ泣き出し、「お母さん、抱っこ〜」と言うかと内心ヒヤヒヤしていたが、息子は歯を食いしばって歩き続けてくれた。
偉い! 成長したなあ、と、雨の中、クロックスを踏みしめる息子を眺めて、ふと涙が出そうに・・・。実際は、尿意の方が強かったが・・。
散歩で足腰と根性を鍛えてくれている保育園のおかげだなあ、とつくづく思った。

家にたどり着くと、みんなで風呂に入り、冷えた体を温めた。

疲れてソファで寝てしまった子どもたち。お疲れさま!

これもいい思い出だね、と言いながら、乾杯しなおした私とK子。
2時頃までいろいろ白熱して話したけど、何を話したのかほとんど覚えていない。 主に子育てについて・・だったかな。

K子と私は同じ大学で、学部は違ったが、下宿がとても近所だった。
卒業後、地元で公務員になった彼女は、結婚で上京、私がいた銀座の編集会社でライターに転身し、その後、私と時を同じくして湘南に引っ越した。
子どもは一人で男児という境遇も同じで、夫の仕事も割と似ている。

京都での学生時代、王将の総菜をたくさん買ってビールを飲むことを「王将る(おしょる)」と言って、よくK子とやったものだけど、あの頃はまさかこんな未来が待っているとは思わなかった。こんなに縁の深い相手だったとは。

息子も今後、学校に上がり、たくさんの人と出会って、たくさんの友達を得て、ときには失って、を繰り返していくのだろう。
悩むこともあるのかな。ウェルテル、藤村操みたいに、自己に苦悶しちゃったりして・・・そんなことを考えると、ついニヤニヤしてしまう。来るべき青春時代には、母は嫌われる一方だろうけど、そんな得難い時間を傍観できると思うと、年を取るのも悪くない気がする。

最近、息子の性癖を変態呼ばわりして追いつめた両親の人生相談がFacebookなどで話題になっていたけど、あれは、息子を持つ母親として、とても参考になった。
親子とはいえ、人間には、お互いに踏み込んではいけない部分が、時にある。愛情の押し売りをしてはいけないと肝に銘じた。

そう思うと、自分の両親などは、出来た人たちだなあと改めて思う。
私がこの年齢になってようやく実感したことを、20代の若さでもう分かっていたのだから。
今になって、つくづく、執着を手放す先に、得るものが多いと感じている。

私の夫は、他人に執着がない分、逆に友人に恵まれている人間だ。息子にも、そんな風に、楽な人間関係を築ける人になってもらいたい。
「自分大好き」は、KYの極みではあるけど、他人に迷惑はかけない。いい生き方だと思う。


 将来、この父子も気楽な関係でいられますように。


鎌倉に引っ越して丸4年。 
そろそろ、梅雨がはじまる。
6月も、仕事に遊びに精を出そう