2016年9月27日火曜日

子連れフランス旅日記 <友遠方より来る 編>

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私も息子も、元気に過ごしております。


 雨上がりの夕方、オーベルジュから見えた見事なダブルレインボー。 ちなみにフランス語で虹はラルカンシェル。

息子は苦手な食べ物があると異様に食べるのが遅い。

 日が暮れても食べ終わらない・・・。

いつものおじいさん(ミッシェル)も来て飲み始めたが、まだ終わらない食事。

長雨が上がると、少し暖かさが戻ってきたCamprieu。 
日本からはるばる、大学時代の親友F子とその娘M子が私たちに会いに来てくれた。
法律の仕事をするF子のバカンスは1週間。
オーベルジュの仲間たちが、「えええッ、1週間だけ!?」と驚いた。

フランス人のバカンスにかける情熱はすごい。
春、夏、冬と、通算2ヶ月以上は長い休みがあるんじゃないだろうか。そのために働くと言ってもいい。しかもあまり残業しない。毎日きちんと家族と夕飯を食べて、バカンスはどこかに長逗留してのんびりと過ごす。
日本は散りぢりに祝日があって、小刻みに休む。だから安近短なんて言葉があって、1泊2泊でちょいちょい旅行、渋滞に巻き込まれて疲れるだけ・・・。
フランスもいろいろ問題を抱えた国だけど、バカンスの取り方については本当に学ぶべきだと思う。

賞味5日ほどの滞在のために、ものすごく時間をかけて来てくれたF子とM子。
私は嬉々としてモンペリエまで車で迎えに行き、慣れ親しんだ田舎の村へご案内した。

オーベルジュで働くA子さんと、私とF子とは大学時代の友人。
F子母子は、A子さんの家に滞在して、毎晩一緒にご飯を食べ、ゆっくりとおしゃべりを楽しんだ。

夏は忙しかったA子さんも、秋は一息。
お休みを取ってくれて、一緒に近所をぶらぶら。
W君と息子は、いつも通りエコールに通い、夕方から一緒に行動するという毎日を過ごした。

3人の疑似きょうだい。楽しく遊んだね。


「 私も一緒に行きたいなあ・・・」もうすぐ4歳のM子。



私もそうだったのだけど、F子とA子さんの再会はおよそ15年ぶり。
「変わってないねえ!」

それでもやはり15年の間にはいろいろなことがあって、毎晩、遅くまで3人で話し込んだ。
その傍らで、賑やかに遊ぶ子どもたち。

「次世代同士で遊ばせられるとは思わなかったねえ」

子どもたちの様子を眺めながら、感慨深く昔を振り返った。

A子さんは3姉妹。
私たちが大学生の頃、A子さんたちは、京都の下鴨に小さな家を借り、姉妹で共同生活をしていた。姉妹それぞれの友達が出たり入ったり、それは賑やかな家だった。私も入り浸っていた一人で、卒業して地元に帰っても、休みのたびに京都に行って、その家に逗留しては、だらだらとおしゃべりをして過ごした。
姉妹には外国人の友達も多く、そこはまるで、バックパッカーが集う宿のサロンのようだった。

ある日、その家で、昼近くに起きて、ねぼけ眼で珈琲を飲んでいると、バイトへ行く前のA子さんが食パンにカマンベールチーズを一片乗せて、トースターで焼いてくれた。
それが美味しくて、わあ、まるでフランス人のようだなあ、なんて思ったものだ。

いつまでもヒッピーのようなムードが漂って、このまま永遠にそんな時間が続くんじゃないかと思われたそのサロンも、いつの間にかなくなった。

その後、A子さんはフランス人男性と結婚して、子どもを3人もうけた。
次女と三女もそれぞれ家庭を持ち、私もF子も遅くに子どもを得た。

そして今、こんな風に南フランスのど田舎で、お互いの子どもたちを遊ばせながら、またあの頃みたいにおしゃべりができるなんて。
あの頃には想像もできなかったけれど、 なかなかいい未来が待っていたんだな。

サロンに出入りしていたなかには、亡くなった友もいる。
彼女のことも、思い出す。
健康で生きていられることが、一番なんだな、と改めて思う。
 


M子、息子、Adam、W君、Louis。

ある日、エコールでは、自転車教室が行われた。

私も子どもの頃、小学校で、あったな〜、自転車教室!
手信号とかやらされて、級もあったりして。

小1からの自転車教室なのだけど、息子は自転車が得意ということで、特別に校舎外のレッスンに混ぜてもらった。村を一回りして、広場で自転車のテクニックの指導を受けたらしい。


 得意げな息子。

 ストライダーみたいな乗り物(木製)に乗って、追いかけるM子。


自転車教室の様子を、M子はずっと眺めていたらしい。
M子も一緒にエコールへ行けたら良かったなあ。バカンス1週間では、短すぎるか・・・。

うちの息子も、M子も、高齢出産の一人っ子同士。
ときにどうでもいいものに執着して(ゴミを拾って奪い合うとか・・)ぶつかり合い、面倒な喧嘩を繰り広げたが、W君や年下のLouis、近所の子どもたちとの交流が風通しを良くしてくれた。
「やっぱり長屋の子育てが一番いい」
F子とつくづくそう話した。
子どもが多ければ多いほど、大人も子どもも楽。大人は離れて眺めて、危なくなったら少し手助けをするだけでいい。
母子2人きりでは、煮詰まる。
3歳までは手元で育てたほうがいいとか、まったく、何を言っているんだろうと思う。

さて、F子たちが滞在中には、ニームかライヨールへ観光に行こうかと考えていたのだけど、移動が長いのも子どもには厳しいということで、結局村の近郊でのんびりと過ごした。

水曜日の小さな朝市。
ミヨーへのドライブ。
湖への散歩。

 村の中央に位置する広場には、高山植物が咲き乱れる。

 小さくけなげな花。なんという名前だろう。

そして、あっという間に、彼女らが帰る日がやって来た。

まだ薄暗い早朝、車に荷物を積んで、再びモンペリエへ。
この日は土曜日だったので、息子も連れて、ついでに観光をして戻ってくることにした。


トラムではしゃぐ2人。

2時間程のドライブを経て、またトラムに乗り、空港行きのバスが出発するPlace de l'Eulopeへ。
余裕を持って出たつもりだったけど、バス停に到着したのは、出発時刻の3分前。ギリギリだった・・・1時間に1本しかないバス、乗り過ごさなくて良かった。
彼女たちは、国内線でパリへ向かい、一泊してから、東京に帰って行った。
最後のパリでは、どんな過ごし方をしたのかな。また教えてね。


Antigoneと呼ばれる地域で、近代建築が有名。

2人を見送ると、私と息子は、付近を散策。
モンペリエはまだ気温が高く、秋の始まりの朝、という感じで、とても気持ちがよかった。

パン屋を発見。ちょっと遅い朝ご飯。

見た目はとても美味しそうなクロワッサン。でもMeyrueisのパン屋さんのほうが、美味しかったな。

しばらくぶらぶらしてから、再びトラムに乗り、水族館へ。

土曜日なのに、ずいぶんすいていた。

オディッセウムにある水族館は、入口が小さいので、たいしたことないのかな、と思ったが、ジャングル、宇宙、客船などなど、テーマパークのような造りのなかで魚を見せていくという、ユニークなものだった。

さほど大きな水槽もないけれど、工夫されていて、とっても楽しめた。

「こ、怖い」嵐に遭った船という設定で、床がグラグラ。息子びびりまくり。



南の島の熱帯魚を、ハイハイしながら眺める。

朝早く、2時間のドライブをした後だったので、熱帯魚の水槽の前で、私はすっかり眠くなってしまい、少しウトウト・・・。
熱帯魚って癒されるんだなあ。飼う人の気持ちが、初めてわかった。


タコのコーナーは広く、なぜか力が入っていた。

ランチは、海賊のテーマレストランへ。
フランスの子どもたちは、海賊が大好き。
「ピハーツ!!」
夏祭りで海賊のコスプレセットをゲットしたこともあって、息子も大喜び。


店内はグーニーズみたいな雰囲気だった。

中に入ると、子連れの家族がいっぱい。
注文をすると、コインをくれて、ガチャガチャができるようになっていた。
「おかあさん!バーミヤンみたいだね♡」
と息子。う、うん。バーミヤンって久しぶりに聞いた気がするよ・・・。



サーモンのサラダ。ガスパチョやパンもついて、お腹いっぱい。

息子はバーガー。

「いいなあ。オレもここでボンアニベルセルしたい・・・」

海賊風の衣装をまとったスタッフが、花火をさしたデザートを持ち、鐘をならして練り歩く。
あちらこちらのテーブルで、誕生日会が開催されていた。

私たちのテーブルのすぐ近くでも、ママ友と子どもたちの団体がパーティーをしていた。
山積みのプレゼントを奪い合うようにして、包み紙を破る子どもたち。
うらやむ視線を送る息子。
こういうの、子どもは嬉しいんだろうな。
ママたちはおしゃべりに夢中。
どこの国でも、同じなんだな、と思って眺めた。


海賊が人気って、やっぱりヨーロッパだなあ、と思う。



 「また来よう!」・・・お母さんは、もう、いいわ。

帰り道には、大きなブロカントの倉庫に寄った。
買い物が嫌いな息子だが、ブロカントを覗くのは、宝探しみたいで好きみたい。


とっても大きな倉庫。

古いフィルム用カメラを見つけた。

かわいい熊のぬいぐるみ。


そして、気がつけば、いよいよ私たちがこの村を離れる日も近づいてきた。

息子は今日も張り切ってエコールへ。
エコールへ行けるのもあと2日。
今日は、お昼にカレーをたっぷり作って、W君と息子に食べさせた。
残り少ない時間を、大切に過ごしてほしい。

私は、ここ数日、なんだか引き裂かれるような不思議な気持ちを持て余している。

友が来て、私が何をしにここまで来たのかがわかった気がしたのだった。

学生時代に過ごしたサロンに、ひととき、タイムスリップしに来た。

A子さんとF子と私だけだったけど、気分的には、あの頃の友達、みんながそこにいるようだった。

いつか息子も、若い頃の気持ちを辿る時が来る、
その時には、こんな風に、素晴らしい友達が隣にいますようにと祈る。

村の体育館でハンドボールをして帰ってきた息子たち。

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