2016年9月15日木曜日

子連れフランス旅日記 <セヴェンヌに秋が来る 編>


来たばかりの頃は、23時くらいに落ちていた太陽も、今や20時半には山の向こうに姿を隠すようになった。
毎日、カラリとした晴天が続いていたセヴェンヌにも、本格的な秋の訪れを告げる雨が降る。 先日は、暗いうちにピカリと光った雷で目が覚めた。横殴りの雨が、シャワーのように窓ガラスを流れる。


いつもは真っ青な空が、どんより。


山歩きのご一行様、無念のチェックアウト。



毎日喜んで自転車で幼稚園へ通っている息子を、この日ばかりは車で送迎。
「チェッ!自転車で行きたかったのになあ」
今週は、雨の予報。雨がやんだら、一段と涼しくなるのだろう。

雨が降らねば、シャンピニオンは育たない。
シャイニンオン〜♪じゃないよ、キノコだよ。←最近昭和ネタを入れないと気がすまない私

そう、そろそろ、キノコの季節。
オーベルジュにも、「セップが採れたよ」と大きなのが一つ、届いた。

 残念ながら虫食いのスカスカで食べられなかったけど・・早く食べてみたいセップ!

イタリアのポルチーニ、まったく同じではないのだろうけど、そんな感じのキノコみたい。
これから冬にかけて、オーベルジュにはセップの料理を求めるお客さんが押し寄せる。
私は・・・食べるタイミングがあるかなあ、あるといいなあ。ギリギリかなあ、と言われて、ドキドキしている。

それにしても、フランスの食材は美味しい。
なかでも、やっぱりパンがとびきり美味しい。

 皮パリパリ、中はふわふわ。ポルカというパン。起きるのが楽しみになる、フランスの朝食。



手作りの牛乳のコンフィチュール。バニラ風味の練乳というところ。


オーベルジュでは、季節の果物や、こうして牛乳、山羊の乳など、食材はほとんど余すところなく調理をする。
オーベルジュのオーナー、オレリアのパートナーPJは農家を営んでいるので、
残飯は、家畜のエサとなり、肥料となり、ふたたび野菜や卵、肉類に姿を変えて、オーベルジュに戻ってくる。
このサイクルは素晴らしいと思う。


オーベルジュのキッチンで働く仲間、モロッコがルーツのハリード(28)。冗談ばかり言っている陽気な元ヤン。



 キッチンでタルトシトロンをむさぼる息子。背中にあるのは、山羊の乳で作ったプリン。

いま、シーズンとかで、山羊の乳でいろんな料理を作っているのだけど、この乳がものすごく美味しい。なんだろう、牛乳とはまた違う、爽やかな香りがある。
これもまた日本では手に入らないだろうな〜。

食べ物というのは・・本当に、その土地で、旬を食べるから美味しいのだと、今回の旅でつくづく思う。
日本に帰ったら、秋の旬のものをたくさん食べたい。

今食べたいもの・・・

秋刀魚、鯖など青魚の塩焼きに大根おろし
寿司、刺身
餃子、ワンタン、中華そば
鍋もの
イタリアン
焼鳥
焼き肉
こんなところかな〜 まあ、日本ではいつも食べてるヤツを、いつものように食べたいということです。


あと、アリゴ(じゃがいも餅みたいな郷土料理)には入っているんだけど、ほとんど、ここではにんにくを食べない。
だから、にんにくの効いたアルデンテのスパゲッティーとかも、なかなか食べられないから、ひじょうに食べたい。
アイヨリソースなんかは、もっと海寄りのほうで食べているだろうけど、山では食べない、にんにく風味がする、と思ったら、パウダーを使ったりしている。 不思議だなあ。フレッシュなにんにく、食べたい。

あと、ひなびた居酒屋に行きたい。
昔、名古屋でよく行った大須や伏見の居酒屋みたいなとこ、空豆とかマグロのブツとか・・・洒落っ気のないつまみに、ジョッキで生ビールが飲みたい。


ちょっと話が反れてしまったけど、
山羊といえば、
この間、山羊の大群に遭遇した。



 2頭しか写ってないけど、大群だったのです。

週末にルビガンのMさん宅へ遊びに行った帰り、上り坂をウンウン走っていると、急に前から現われた山羊の群れ。
夏の間、高地へ上って草を食む山羊たちが、群れをなして公道を降りてくる風景は、まさにセヴェンヌ名物。ステッキのようなものを持って山羊を追い、伴走する人たちがいる。


どこかから拝借してきた写真だけど、こんな感じ。



イタリア語ぺらぺらのMさん。フランス語特訓中。

晴れて気持ちよかったルビガン再訪の模様は、Mさんのブログ「南仏ルヴィゴン 猫と自然のある暮らし」に詳しく書いてもらった!
Mさん、たくさん写真を撮ってくれてありがとうございました。
バーベキュー、本当に美味しかったな〜。


弟分、Louisと夕方のお散歩。

さて、オーベルジュに居候して、2ヶ月以上が経った。
異国、異文化であるこの新しい環境、そして息子にとっては、初めての他者との共同生活。
ここで、私は、子育てについて、改めて考えさせられている。

オーベルジュでは、オーナーの息子Louis(もうすぐ2歳)、お隣の小学生W君と一緒に過ごしているのだけど、年下のLouisには分け与えず、W君には何でもねだる、という、やっかいな次男坊的ポジションに納まってしまった。

息子はふだん、保育園から帰ると私と2人きりで夕飯を食べ、土日も家族3人で行動。そして、一人っ子の家族同士で遊ぶことが多い。
好きなものを好きなだけ食べ、自分だけのおもちゃで遊び、両親の愛情も独り占め。

だから、何かを分け合うとか、譲り合うということに、慣れていない。
性格はわりと穏やかなので、 これまであまり気にしたことはなかったのだけど、こうして相対視してみると、ものすごく勝手な面が多々あって、
ああ、そうか、今までも、これぞ一人っ子・・・という感じで見られていたのかな、と思った。
  
きょうだいの数は、その人に与えられた運命なんだから、一人っ子でも別にいいと思う。
しかし、今後、学校へ行くようになったり、多くの人々と接するとき、きょうだいで訓練したコミュニケーション術を生かせるメリットは大きい。


 
 「オレがとった木の実だ」とはじめは弟分に渡さなかったが、私に叱られてしぶしぶ与える息子。

幼いLouisに優しくしたかと思えば、おもちゃを奪って泣かせて、W君にこっぴどく叱られる。
こうして擬似的に三人兄弟として過ごしているところを眺めて、はじめはハラハラしたものの、今となれば、ああ、ここまで来た甲斐があった、良かったなあ、と考えている。

息子にとっては、言語よりも、こうしたコミュニケーションをおぼえることのほうが重要だ。遊んだり、喧嘩したりしている間に、言葉は後からついてくるという感じ。
私も、息子とLouisを一緒に見ているうちに覚えた言葉がいくつかある。

今回の旅で、フランス語ペラペラ・・・とまではいかないけれど、言葉に親しみ、フランスの食べ物、友達、自然が大好きになった息子。
これをきっかけに、世界中の人と、臆することなく交流できる人間になってほしいな、と思う。
きょうだいがいない分だけ、友達はいっぱい作るんだぞ!!


息子の荷物掛け。写真付き。嬉しいね。

毎晩、眠る前に、
「あ〜、早くエコール行きて〜な〜」
と言う息子。
何が楽しいのか聞いても全然教えてくれないが・・・楽しいなら、何より。

来週は、日本から友達が娘を連れてやって来る。
息子がお兄さんヅラをして地域を案内する様子を想像すると、つい笑えてしまう。

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